2017年4月18日、日本陸上競技連盟は、東京オリンピック2020(以下、東京五輪)のマラソン日本代表選手の選考方法を発表。
新たに“マラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)”が創設されたことで、例年行われるマラソンの主要な大会が、より一層盛り上がりを見せています。
MGCの出場権を獲得した大迫傑選手をはじめ、どの選手が東京五輪のマラソン代表になるのから、今からとても楽しみです♪
ここでは、東京五輪マラソン代表選手の選考方法や対象となる大会、そしてMGCの出場権を獲得した選手をなどをまとめました。
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もくじ
東京五輪マラソン代表選考について
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新方式導入の背景は?
新方式が導入される前のマラソン五輪代表選手の選考方法と言えば、レース内容も気象条件も異なる複数の大会での成績を比較する方式でした。
そのため、あれやこれやと物議を醸すことも多く、五輪を目指す選手や関係者、ファンをヤキモキさせました。
そこで日本陸上競技連盟(以下、日本陸連)は、選考の透明性と日本のマラソン選手の実力強化を図るため“2段階選抜”による新方式を打ち出しました。
この新方式について、現場の指導者から
・公平性
・条件の明確さ
・準備へのスケジュール調整がしやすい
また、日本陸連が東京五輪の3年前に新方式を打ち出した一番の理由に、海外勢と日本選手との実力差に危機感を抱いていたからです。
2017年2月の東京マラソンでは、優勝したキプサング選手をはじめ、ケニア勢が6位までを独占。また、2017年3月に行われたびわ湖毎日マラソンでは、気温や天気が好条件であったにも関わらず、思いのほか主要な選手たちのタイムが伸びませんでした。
このびわ湖毎日マラソンの結果を見たマラソンプロジェクトリーダーの瀬古利彦氏は、テレビ放送内でタイムが思った以上にタイムが出ていないことを嘆いていました。
2020年の東京五輪では、自国開催とあってメダルあるいは入賞が強く求められます。代表選考の新方式発表の場で、瀬古氏は「今年(2017年)からトレーニングをやっていかないと間に合わない」とコメント。
男女とも2017年8月の北海道マラソンから、新たに導入された代表選考レースがスタートしました。
次章では、東京五輪マラソン日本代表の選考方法を、図などを交えてご紹介します。
代表選考方法とMGCについて
2020年東京五輪を目指す選手たちは、2017年8月から2019年春までに開催される「マラソングランドチャンピオンシリーズ(以下、MGCシリーズ」と銘打たれた国内主要レースに出場し、一定の条件をクリアすると次のステージへと進むことができます。
簡単に言うとMGCシリーズは、五輪代表を決める大会の予選という位置づけになります。
では、その五輪代表を決める大会が、「マラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)」と呼ばれる新たに創設された大会となります。
このMGCは、2019年9月15日(日)に開催され、ここでの一発勝負で男女それぞれの代表3枠中2枠が決定します。
そして、男女最後の1枠は、「MGCファイナルチャレンジ」と呼ばれるレースで決定します。このMGCファイナルチャレンジでは、MGCシリーズ(予選)やMGCの結果をリセット。MGC終了後の国内主要3レースで、設定記録を突破した最速の選手が、最後の五輪代表の座を手にします。
また、MGCファイナルチャレンジで設定記録を突破する選手が出てこなかった場合、最後の東京五輪代表の1枠は、MGCで2枠に入らなかった次点の選手が選ばれます。
なお、日本陸連は代表3枠について、MGCでの選出は「調整力や安定感がある選手」、MGCファイナルチャレンジでは、「スピードに特化した選手」という風に考えているそうです。
以上、これまでことをまとめると以下のようになります。
※MGCは2019年9月15日開催
補足(出場条件について)
また、MGCへの出場条件や、五輪内定の順位やタイムについて以下の画像で補足させていただきます。
▼MGC進出に必要なタイムや順位
出典:しゃぼん玉ニュース
MGCシリーズ優勝者でも、設定タイムを突破しなければMGCに出場することはできません。なお、川内優輝選手は2大会の平均記録が設定を上回り、ワイルドカードでのMGC出場選手第1号になりました。
▼東京五輪の内定条件
あれこれと書いていますが、要するにMGCの優勝者と2位の選手が東京五輪の代表に内定となります。ただし、MGCファイナルチャレンジの結果によっては、MGCで3位になった選手にも五輪内定の可能性が残されます。
<MGCコースマップ>
※クリックで拡大
▼MGCファイナルチャレンジ対象レース
2019年5月17日、日本陸連は男女3枠目の選考に用いる設定記録を発表しました。
男子/2時間05分49秒
女子/2時間22分22秒
男子はかなり早いタイムの設定となりました。このタイムを超える選手が出てくるとかなり面白くなりそうですね。
なお、設定記録を超えられなかった場合は、MGCで3位の選手が最後のマラソン代表選手となります。
MGC出場権獲得選手一覧
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男子
男子は34選手がMGC出場権を獲得しました。以下、並びはMGC出場権獲得順です。
※川内優輝選手、二岡康平選手、山岸宏貴選手らは世界陸上に出場するため、MGCの出場は辞退。また、一色恭志選手は故障が後を引き、MGC最終調整の段階で欠場を決断するに至ったそうです。
2017年
村澤明伸
所 属/日清食品グループ
自己ベスト/2:09:47
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2017/1位(2:14:48)
大迫傑
所 属/Nike ORPJT
自己ベスト/2:05:50
▼出場権を獲得した大会と記録
2017年福岡国際マラソン/全体1位(2:07:19)
上門大祐
所 属/大塚製薬
自己ベスト/2:09:27
▼出場権を獲得した大会と記録
2017年福岡国際マラソン/全体6位(2:09:27)
竹ノ内佳樹
所 属/NTT西日本
自己ベスト/2:10:01
▼出場権を獲得した大会と記録
2017年福岡国際マラソン/全体7位(2:10:01)
川内優輝
所属/あいおいニッセイ同和損保
自己ベスト/2:08:14
▼出場権を獲得した大会と記録
2017年防府読売マラソン/1位(2:10:03)
2017年福岡国際マラソン/日本人4位(2:10:53)
※川内優輝選手は、2大会の平均タイムが2時間11分以内のため、MGC出場権獲得(ワイルドカード)
※川内選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
2018年
園田隼
所属/黒崎播磨
自己ベスト/2:09:34
▼出場権を獲得した大会と記録
2018年別府大分毎日マラソン/全体2位(2:09:34)
設楽悠太
所属/Honda
自己ベスト/2:06:11(日本記録)
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体2位(2:06:11)
※設楽悠太選手が、東京マラソン2018で16年ぶりに日本新記録をマーク。
井上大仁
所属/MHPS
自己ベスト/2:06:54
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体5位(2:06:54)
木滑良
所属/MHPS
自己ベスト/2:08:08
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体7位(2:08:08)
宮脇千博
所属/トヨタ自動車
自己ベスト/2:08:45
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体8位(2:08:45)
山本憲二
所属/マツダ
自己ベスト/2:08:42
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体9位(2:08:48)
佐藤悠基
所属/日清食品グループ
自己ベスト/2:08:58
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2018/全体10位(2:08:58)
中村匠吾
所属/富士通
自己ベスト/2:10:51
▼出場権を獲得した大会と記録
びわ湖毎日マラソン2018/全体7位(2:10:51)
※中村匠吾選手は初マラソンでMGC出場権獲得
岡本直己
所属/中国電力
自己ベスト/2:11:29
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2018/全体1位(2:11:29)
谷川智浩
所属/コニカミノルタ
自己ベスト/2:11:39
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2018/全体3位(2:12:03)
大塚祥平
所属/九電工
自己ベスト/2:10:12
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2018/全体4位(2:12:07)
中本健太郎
所属/安川電機
自己ベスト/2:08:35
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2018/全体5位(2:12:55)
藤本拓
所属/トヨタ自動車
自己ベスト/2:07:57
▼出場権を獲得した大会と記録
シカゴマラソン2018/8位(2:07:57)
※ワイルドカードの条件のひとつ、国際陸連が記録を公認する競技会で、2時間8分30秒以内をクリア
服部勇馬
所属/トヨタ自動車
自己ベスト/2:07:27
▼出場権を獲得した大会と記録
第72回福岡国際マラソン/全体1位(2:07:27)
※服部選手は福岡国際で日本選手14年ぶりの優勝を果たしました。
山岸宏貴
所属/GMOアスリーツ
自己ベスト/2:10:14
▼出場権を獲得した大会と記録
第72回福岡国際マラソン/全体6位(2:10:42)
※山岸選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
福田穣
所属/西鉄
自己ベスト/2:09:52
▼出場権を獲得した大会と記録
第72回福岡国際マラソン/全体7位(2:10:54)
2019年
二岡康平
所 属/中電工
自己ベスト/2:09:15
▼出場権を獲得した大会と記録
第68回別府大分毎日マラソン/全体4位(2:09:15)
※二岡選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
橋本崚
所 属/GMOアスリーツ
自己ベスト/2:09:29
▼出場権を獲得した大会と記録
第68回別府大分毎日マラソン/全体5位(2:09:29)
岩田勇治
所 属/MHPS
自己ベスト/2:09:30
▼出場権を獲得した大会と記録
第68回別府大分毎日マラソン/全体5位(2:09:30)
堀尾謙介
所属/トヨタ自動車
自己ベスト/2:10:21
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2019/全体5位(2:10:21) ※日本人1位
※堀尾選手は初マラソンでMGCの出場権を獲得。また、大学生ランナーとしても初のMGCファイナリストとなります。
今井正人
所属/トヨタ自動車九州
自己ベスト/2:07:39
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2019/全体6位(2:10:30)
藤川拓也
所属/中国電力
自己ベスト/2:10:35
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2019/全体7位(2:10:35)
神野大地
所属/セルソース
自己ベスト/2:10:18
▼出場権を獲得した大会と記録
東京マラソン2019/全体8位(2:11:05)
山本浩之
所属/コニカミノルタ
自己ベスト/2:09:12
▼出場権を獲得した大会と記録
第74回びわ湖毎日マラソン/全体10位(2:10:33)
河合代二
所属/トーエネック
自己ベスト/2:10:50
▼出場権を獲得した大会と記録
第74回びわ湖毎日マラソン/全体11位(2:10:50)
河合代二選手は自己ベストを12分以上更新してのMGC出場権獲得。
高久龍
所属/ヤクルト
自己ベスト/2:10:03
▼出場権を獲得した大会と記録
ハンブルク・マラソン2019/7位(2:10:03)
※高久選手はワイルドカードでMGC出場権獲得
荻野皓平
所属/富士通
自己ベスト/2:09:36
▼出場権を獲得した大会と記録
ハンブルク・マラソン2019/9位(2:10:15)
※荻野選手はワイルドカードでMGC出場権獲得
一色恭志
所属/GMOアスリーツ
自己ベスト/2:09:43
▼出場権を獲得した大会と記録
ハンブルク・マラソン2019/11位(2:11:23)
※一色選手はワイルドカードでMGC出場権獲得
鈴木健吾
所属/富士通
自己ベスト/2:10:21
▼出場権を獲得した大会と記録
ハンブルク・マラソン2019/13位(2:11:36)
※鈴木選手はワイルドカードでMGC出場権獲得
女子
女子は15選手がMGC出場権を獲得しました。以下、並びはMGC出場権獲得順です。
※谷本観月選手、池満綾乃選手、中野円花選手らは世界陸上に出場するため、MGCを辞退。また、関根花観選手は疲労骨折のため、前田彩里選手は右大腿の腱損傷のため、MGCを欠場。
2017年
前田穂南
所 属/天満屋
自己ベスト/2:23:48
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2017/1位(2:28:48)
2018年
松田瑞生
所 属/ダイハツ
自己ベスト/2:22:44
▼出場権を獲得した大会と記録
大阪国際女子マラソン2018/全体1位(2:22:44)
※松田選手は大阪国際が初マラソンとなります
安藤友香
所 属/ワコール
自己ベスト/2:21:36
▼出場権を獲得した大会と記録
大阪国際女子マラソン2018/全体3位(2:27:37)
関根花観
所属/日本郵政グループ
自己ベスト/2:23:07
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2018/全体3位(2:23:07)
※関根花観選手は初マラソンでMGC出場権獲得
岩出玲亜
所属/アンダーアーマー
自己ベスト/2:23:52
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2018/全体4位(2:24:38)
野上恵子
所属/十八銀行
自己ベスト/2:26:33
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2018/全体5位(2:26:33)
※野上恵子選手はアジア大会2018で銀メダルを獲得
鈴木亜由子
所属/日本郵政グループ
自己ベスト/2:28:33
▼出場権を獲得した大会と記録
北海道マラソン2018/全体1位(2:28:33)
※鈴木亜由子選手は初マラソンでMGC出場権獲得
小原怜
所属/天満屋
自己ベスト/2:23:20
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズマラソン2018/全体8位(2:27:44)
第45回ベルリン・マラソン/10位(2:27:29)
※ワイルドカードの条件のひとつ、2大会の平均タイムが2時間28分00秒以内をクリア
2019年
中野円花
所属/ノーリツ
自己ベスト/2:27:39
▼出場権を獲得した大会と記録
第38回大阪国際女子マラソン/全体4位(2:27:39)
※中野選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
福士加代子
所属/ワコール
自己ベスト/2:22:17
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2019/全体8位(2:24:09)
上原美幸
所属/第一生命グループ
自己ベスト/2:24:19
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2019/全体9位(2:24:19)
前田彩里
所属/ダイハツ
自己ベスト/2:22:48
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2019/全体10位(2:25:25)
谷本観月
所属/天満屋
自己ベスト/2:25:28
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2019/全体11位(2:25:28)
※谷本選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
池満綾乃
所属/鹿児島銀行
自己ベスト/2:26:07
▼出場権を獲得した大会と記録
名古屋ウィメンズ2019/全体12位(2:26:07)
※池満選手は世界陸上2019の日本代表に選出されたため、MGCの出場は辞退。
一山麻緒
所属/ワコール
自己ベスト/2:24:33
▼出場権を獲得した大会と記録
ロンドンマラソン2019/全体15位(2:27:27)
※一山選手はワイルドカードでMGC出場権獲得