ビールの定義が変わる!2018年4月酒税法改正で発泡酒の扱いが…!?

2018年4月1日から酒税法が改正され、ビールの定義が新しくなり、ビール業界に新たな風が吹きそうです。すでに、このビールの新定義に合わせて、大手ビールメーカーがニュースリリースなどで新商品を発表しています。

一方、ビールや発泡酒などを製造・販売するには免許が必要となるのですが、定義の変更に伴い、免許も変更せざるおえなくなりました。

このことで、新たに参入しようとする事業者の間で、困惑する声もあがっています。

ここでは、そのビールの新定義と製造・販売に関わる免許区分の変更についてご紹介します。

 

スポンサーリンク

 

ビールの新定義とは?

改正前のビールと発泡酒の定義は?

改正前のビールと発泡酒の定義は、以下のようになっています。

【ビール】
①.麦芽比率が約67%以上

②.副原料は麦、米、とうもろこしに限定
※品質の調整などに副原料が使用されます

【発泡酒】
①.麦芽比率が約67%未満のもの

②.麦芽比率が67%以上でも、香りづけや味付けに果実及び一定の香味料を副原料に使用している場合
※リンゴ、サクランボ、レモンなど
※麦芽重量の5%まで

以上が改正前の簡単なビールと発泡酒の定義となります。

 

法改正でどう変わる?

さて、法改正後のビールの新定義はというと、

①.麦芽比率が約67%以上から50%以上に引き下げ

②.副原料に果実及び一定の香味料を加えたとしても、ビールになるということになります。

 

図でまとめるとこうなります。

※「酒税法等の改正のあらまし」(税務署)をもとに作成

 

新しいビールの誕生

この4月の法改正に合わせて、業界トップのアサヒビールは2018年1月9日のニュースリリースで新商品を発表。

新商品の副原料には、時間が経っても香りやコクを持続させる効果のあるレモングラスが加えられています。

今までだと発泡酒に分類されていた商品が、4月の改正でビールとして売り出すことができるようになります。また、メーカーとしてもビールの開発のバリエーションが増え、顧客獲得の追い風になると期待しているそうです。

ビールファンの自分にとって、麦芽比率うんぬんよりもビールの選択肢が増えるということに大きな期待を寄せています^^

是非、ヒット商品を出してビール離れが進む国内の市場が活性化されることを願います。

 

 

免許区分の変更について

さて、今回の法改正でビールの定義が変わることにより、製造・販売をする事業者にも影響が出ています。

ビールや発泡酒を製造・販売するにあたって、当然酒類の免許が必要になります。この免許の取得にはいろいろな条件があり、ビールと発泡酒の製造・販売の免許取得には以下の条件をクリアしなければなりません。

【ビールの免許取得条件】
▼製造
年間60キロリットル以上、製造をしなければならない

▼販売
年間50キロリットル以上の販売見込みがなければならない

 

【発泡酒の免許取得条件】
▼製造
年間6キロリットル以上、製造をしなければならない

▼販売
規定なし

 

ビールと発泡酒の免許取得の条件を比べてみると、明らかに取得条件のハードルに違いがあります。

なので、今まで発泡酒の免許で良かったものが、法改正が実施される4月以降に、新規参入しようと考えている事業者は、次のようなケースが考えられます。

(例)
麦芽比率:60%
副原料 :果実
※麦芽重量の5%以内

 

上記の条件で作られたものは“発泡酒”の免許で良かったのですが、法改正後は“ビール”の免許を取得する必要があります。

もし、どうしても上記の条件で製造・販売しようとすると今まで以上に、設備投資が必要になり、販路の確保に追われることとなります。

新規参入しようとする事業者が、場合によって免許取得の条件が、作りたいお酒の妨げになるケースが懸念されます。法改正によって、新規参入が減らなければといいのですが…。

<補足>
改正前に製造または販売できた酒類(発泡酒)について、引き続き製造または販売することができるよう免許に関する経過措置が設けられています。