2019年9月27日からドーハ(カタール)で開催される世界陸上2019。その世界陸上で日本代表のメダル獲得が期待される男子50km競歩が、9月29日(日本時間)に行われます。
前回、2017年世界陸上の男子50km競歩で、出場した荒井広宙選手が銀メダル、小林快選手が銅メダル、丸尾知司選手が5位入賞という素晴らしい成績を残しました。
今回、メダルを獲得した荒井選手らは残念ながら世界陸上の代表権を逃がしましたが、その荒井選手らに日本選手権で競り勝ち、日本新記録で優勝した鈴木雄介選手にメダルの期待がかかります。
鈴木選手は男子20km競歩の世界記録保持者。日本選手権での50km競歩は初レースながら、日本新記録で初制覇を果たしました。
長引いた股関節のケガから復帰した鈴木選手が、世界選手権の舞台でどういうレースをするのかに注目です。
なお、世界陸上2019では東京五輪の内定にも関わる重要な大会です。五輪内定を獲得する選手が出てくるかにも注目です。
さて、ここでは、世界陸上2019の競歩に出場する日本代表選手や、競技日程・結果などをご紹介します。
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もくじ
世界陸上関連リンク
2019年世界陸上の各競技の詳細については以下のリンクよりご覧ください。
▼2019年世界陸上/日程・メダリストまとめ | |
大会日程と日本代表一覧 | |
【男子メダリスト】 | 【女子メダリスト】 |
▼2019年世界陸上/各競技結果 | |
100m/200m/400m | リレー |
800m/1500m 5000m/10000m |
ハードル 3000m障害 |
マラソン | 競歩 |
跳躍 | 投てき |
十種競技/七種競技 | |
▼2020年東京五輪/日本代表 | |
選考基準&内定時期まとめ |
男子20km競歩
※世界記録、日本記録は2019年5月現在。
男子20km競歩【結果】
【世界記録】
1:16:36(鈴木雄介/富士通)
2015年3月 全日本競歩能美
【日本記録】
1:16:36(鈴木雄介/富士通)
2015年3月 全日本競歩能美
※10位までの結果を掲載
順 | 選手名 | 国 | タイム | 差 |
1 | 山西利和 | JPN | 1:26:34 | - |
2 | V.ミズノフ | ANA | 1:26:49 | +0:15 |
3 | P.カルストローム | SWE | 1:27:00 | +0:26 |
4 | S.コークマズ | TUR | 1:27:35 | +1:01 |
5 | 池田向希 | JPN | 1:29:02 | +2:28 |
6 | T.ボスワース | GBR | 1:29:34 | +3:00 |
7 | 王 凱華 | CHN | 1:29:52 | +3:18 |
8 | 尹 加星 | CHN | 1:29:53 | +3:19 |
9 | 高橋英輝 | JPN | 1:30:04 | +3:30 |
10 | M.ジウカス | LTU | 1:30:22 | +3:48 |
世界ランキング1位の山西利和選手が、1時間26分34秒で同種目として日本勢初の金メダルを獲得。男子50km競歩の鈴木雄介選手に続く、今大会2人目の金メダリストとなりました。
さらに、山西選手は日本陸連の規定をクリアし、東京五輪の代表に内定しました。
また、東洋大学の池田向希選手は5位入賞、高橋英輝選手は惜しくも入賞とはなりませんでしたが、世界陸上自身最高成績を残しました。
男子20km競歩【日本代表】
高橋 英輝
出場回数/3大会連続3回目
生年月日/1992年11月19日
出身地/岩手県 出身校/岩手大学
身 長/175cm 所 属/富士通
自己ベスト/1:17:26(2018.2)
▼主な代表歴
リオ五輪(’16)/42位
世界陸上/47位(’15)、14位(’17)
アジア大会/7位(’14)、5位(’18)
山西 利和
出場回数/初出場
生年月日/1996年2月15日
出身地/京都府 出身校/京都大学
身 長/164cm 所 属/愛知製鋼
自己ベスト/1:17:15(2019.3)
▼主な代表歴
ユニバーシアード(’17)/優勝
世界競歩チーム(’18)/4位(個人)
アジア大会(’18)/2位
池田 向希
出場回数/初出場
生年月日/1998年5月3日
出身地/静岡県 出身校/浜松日体高校
身 長/168cm 所属/東洋大学
自己ベスト/1:17:25(2019.3)
▼主な代表歴
世界競歩チーム(’18)/優勝(個人)
女子20km競歩
※世界記録、日本記録は2019年5月現在。
女子20km競歩【日本代表】
岡田 久美子
出場回数/3大会連続3回目
生年月日/1991年10月17日
出身地/埼玉県 出身校/立教大学
身 長/158cm 所属/ビックカメラ
自己ベスト/1:27:41(2019.6.9)
※日本歴代1位
▼主な代表歴
リオ五輪(’16)/16位
世界陸上/25位(’15)、18位(’17)
アジア大会(’18)/3位
藤井 菜々子
出場回数/初出場
生年月日/1999年5月7日
出身地/福岡県 出身校/北九州市立高校
身 長/159cm 所属/エディオン
自己ベスト/1:29:55(2019.2)
▼主な代表歴
アジアジュニア選手権(’18)/2位(10000mW)
U20世界選手権(’18)/4位(10000mW)
女子20km競歩【結果】
【世界記録】
1:24:38(リュウ・ホン/中国)
2015年6月
【日本記録】
1:28:03(渕瀬真寿美/龍谷大学)
2009年1月 日本選手権
※10位までの結果を掲載
順 | 選手名 | 国 | タイム | 差 |
1 | リュウ コウ | CHN | 1:32:53 | - |
2 | QIEYANG Shenjie | CHN | 1:33:10 | +0:17 |
3 | YANG Liujing | CHN | 1:33:17 | +0:24 |
4 | Erica ROCHA DE SENA | BRA | 1:33:36 | +0:43 |
5 | Sandra Lorena ARENAS | COL | 1:34:16 | +1:23 |
6 | 岡田久美子 | JPN | 1:34:36 | +1:43 |
7 | 藤井菜々子 | JPN | 1:34:50 | +1:57 |
8 | Maria PEREZ | ESP | 1:35:43 | +2:50 |
9 | Ana CABECINHA | POR | 1:36:31 | +3:38 |
10 | Jemima MONTAG | AUS | 1:36:54 | +4:00 |
女子20km競歩は、2016年リオ五輪金メダリストのリュウコウ選手(中国)が優勝。出産のため、競技から離れていたリュウコウ選手ですが、ドーハの過酷なレース環境でも実力を発揮し、3度目の世界選手権を制しました。なお、リュウコウ選手をはじめ中国勢が表彰台を独占しました。
一方、前回大会18位だった岡田久美子選手が6位(過去最高タイ)、初出場の藤井菜々子選手は7位と10年ぶりの入賞。日本女子競歩勢が入賞するのは、2009年大会ベルリン大会の渕瀬真寿美選手(6位)以来、10年ぶりで複数選手の入賞は史上初となりました。東京五輪での活躍が楽しみです。
ちなみに、女子20km競歩も深夜開催でしたが、気温30℃以上、湿度70~80%での悪条件でのレースとなりました。
男子50km競歩
※世界記録、日本記録は2019年5月現在。
男子50km競歩【日本代表】
勝木 隼人
出場回数/初出場
生年月日/1990年11月28日
出身地/福岡県 出身校/東海大学
身 長/168cm 所 属/自衛隊体育学校
自己ベスト/3:43:03
▼主な代表歴
世界競歩チーム/個人:2位、団体:1位(’18)
アジア大会/1位(’18)
野田 明宏
出場回数/初出場
生年月日/1996年1月24日
出身地/大阪府 出身校/明治大学
身 長/174cm 所 属/自衛隊体育学校
自己ベスト/3:39:47(2018.10.28)
▼主な代表歴 ※20km競歩
ユニバーシアード/8位(’15)、7位(’17)
鈴木 雄介
出場回数/2大会ぶり5回目
生年月日/1988年1月2日
出身地/石川県 出身校/順天堂大学
身 長/171cm 所 属/富士通
自己ベスト/3:39:07(2019.4.14)
▼主な代表歴 ※20km競歩
ロンドン五輪(’12)/36位
世界陸上/42位(’09)、8位(’11)、12位(’13)、途中棄権(’15)
アジア大会/5位(’10)、2位(’14)
ほか多数
男子50km競歩【結果】
【世界記録】
3:32:33(ヨアン・ディニズ/フランス)
2014年8月
【日本記録】
3:39:07(鈴木雄介/富士通)
2019年4月 日本選手権
※10位までと日本選手の結果を掲載
順 | 選手名 | 国 | タイム | 差 |
1 | 鈴木雄介 | JPN | 4:04:20 | - |
2 | J.ビエラ | POR | 4:04:59 | +0:39 |
3 | E.ダンフィー | CAN | 4:05:02 | +0:42 |
4 | 牛 文斌 | CHN | 4:05:36 | +1:16 |
5 | 羅 亜東 | CHN | 4:06:49 | +2:29 |
6 | B.ボイス | IRL | 4:07:46 | +3:26 |
7 | C.ドーマン | GER | 4:10:22 | +6:02 |
8 | J.ガルシア | ESP | 4:11:28 | +7:08 |
9 | M.ザカルニスツティ | UKR | 4:12:29 | +8:09 |
10 | N.S.ミハイラ | ROU | 4:13:56 | +9:36 |
27 | 勝木隼人 | JPN | 4:46:10 | +41:50 |
- | 野田明宏 | JPN | 途中棄権 |
過酷なレース環境のなか、鈴木雄介選手が日本競歩界としては五輪、世界選手権を通じて初めての金メダルを獲得。
ラスト1kmで2位に入ったビエラ選手が迫る場面もありましたが、鈴木選手はこの50kmの長丁場で一度もトップを明け渡すことなく優勝。鈴木選手は日本陸連が定める東京五輪代表の内定条件をクリアし、東京への切符を手にしました。
なお、世界陸上で日本勢の金メダルは、谷口浩美さん(男子マラソン)、浅利純子さん、鈴木博美さん(女子マラソン)、室伏広治さん(男子ハンマー投げ)に続く史上5人目の快挙となりました。
女子50km競歩
※世界記録、日本記録は2019年5月現在。
女子50km競歩【日本代表】
渕瀬真寿美
出場回数/3大会ぶり5回目
生年月日/1986年9月2日
出身地/兵庫県 出身校/龍谷大学
身 長/161cm 所 属/建装工業
自己ベスト/4:19:56(2019.4.14)
▼主な代表歴 ※20km競歩
世界陸上/27位(’07)、6位(’09)、26位(’13)
アジア大会/2位(’10)
ロンドン五輪/9位(’12)
女子50km競歩【結果】
【世界記録】
4:04:36(Rui LIANG/中国)
2018年5月
【日本記録】
4:19:56(渕瀬真寿美/建装工業)
2019年4月 日本選手権
※10位までと日本選手の結果を掲載
順 | 選手名 | 国 | タイム | 差 |
1 | 梁瑞 | CHN | 4:23:26 | - |
2 | 李毛措 | CHN | 4:26:40 | +03:14 |
3 | E.A.ジョルジ | ITA | 4:29:13 | +05:47 |
4 | Olena SOBCHUK | UKR | 4:33:38 | +10:12 |
5 | Faying MA | CHN | 4:34:56 | +11:30 |
6 | Khrystyna YUDKINA | UKR | 4:36:00 | +12:34 |
7 | Magaly BONILLA | ECU | 4:37:03 | +13:37 |
8 | Julia TAKACS | ESP | 4:38:20 | +14:54 |
9 | Paola PEREZ | ECU | 4:38:54 | +15:28 |
10 | Maria JUAREZ | ESP | 4:39:28 | +16:02 |
11 | 渕瀬真寿美 | JPN | 4:41:02 | +17:36 |
3大会ぶりに世界選手権に戻ってきた渕瀬真寿美選手は、8位集団でレースを進めましたが、終盤に順位を落とし11位でのフィニッシュとなりました。
世界陸上2019/競歩【概要】
競技日程
【男子50km競歩】
現地時間/2019年9月28日(土) 23:30
日本時間/2019年9月29日(日) 5:30
【女子50km競歩】
現地時間/2019年9月28日(土) 23:30
日本時間/2019年9月29日(日) 5:30
【男子20km競歩】
現地時間/2019年10月4日(金) 23:30
日本時間/2019年10月5日(土) 5:30
【女子20km競歩】
現地時間/2019年9月29日(日) 23:30
日本時間/2019年9月30日(月) 5:30
東京五輪/競歩日本代表の内定について
世界陸上2019に出場した日本代表選手は、その成績により2020年東京五輪の代表内定を得ることができます。※女子50km競歩は東京五輪の種目ではないため除く。
以下の条件を満たすと、東京五輪の代表に内定します。
・メダルを獲得した日本勢最上位の選手
・IAAFが定める東京五輪参加資格を突破
男子20km競歩/1:21:00
女子20km競歩/1:31:00
男子50km競歩/3:50:00
※内定の条件は、『ドーハ 2019 世界陸上競技選手権大会 競歩日本代表選手選考要項』より
※五輪参加資格は『Olympic Games Tokyo 2020 qualification system』より
世界陸上の50km競歩は今回で最後
男子競歩50kmは日本の陸上競技において、世界的にもレベルが高くメダル獲得の期待ができる種目です。
近年、世界大会での日本勢は、
2015年世界陸上/谷井孝行(銅メダル)
2016年リオ五輪/荒井広宙(銅メダル)
2017年世界陸上/荒井広宙(銀メダル)、小林快(銅メダル)
という成績をおさめました。
しかし、競歩50kmは競技時間の長さや若者の関心の低さ、人気のなさなどから国際陸上競技連盟は2019年世界陸上、2020年東京五輪を最後に同種目の廃止を決定しました。
移行期間となる2021年世界陸上では、男女ともに30kmと20kmを実施。2022年の主要大会から30kmと10kmが行われることとなります。